ヒロシマシリーズへの思い

 昭和20年8月6日8時15分。広島に原爆が投下されました。広島は人類最初の核の犠牲になりました。
無差別殺人、人類最大のテロが、行われました。一瞬の閃光が、24万人尊い人命を奪いました。
 原爆が投下された時刻に、元安川は満潮でした。焼けただれた手足の被爆者、顔から血を流した被
爆者たちは、煮えたぎる喉を満潮の元安川の水を飲んでうるおしました。海に近い川の水は、塩水
です。この川の水や砂は被爆者のうめき声を聞いている、被爆者の地獄絵を見ている。被爆者の悲
しみを知っている。この川は、何も語らず、今日も流れている。この砂と水は、なくなった人達の
生への無念さ、被爆者の苦しみを知っている。この川の水や砂に触れる時、やり切れない思いでい
っぱいです。被爆した広島平和公園の木々たちは、被爆した土から育ったのだ。私の黒色は、木か
ら炭を作りました。被爆者の無言の抵抗の黒です。
 この川の砂は、この川の水は、被爆者の悲しみ、苦しみを知っている。ドームは、被爆地から106
メートルはなれています。昨年、爆心地にビルが出来ました。1メートルほど下から瓦や、炭混じり
の土が出ました。この土は、あの3000度の悪魔の熱風の証人なのだ。人も、犬も、ネズミも、蚤
も、しらみも、植物も、地上のすべての命を消し去った原爆の怖さを知っている。
 私は、無言で抗議するこの土、この砂、この炭、この水の力を借りて犠牲者の悲しみを伝えたい。

 合掌

平成20年2月13日
大津定信

 

大津定信略歴

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個展
1963年
 愛知県美術館
1972〜94年
 チャリティ個展(23回・東海銀行栄支店他)
1993・95・96・97・98年
 名古屋市民ギャラリー
1999年
 村松画廊(銀座、東京)
2000年
 村松画廊(銀座、東京)
2002年
 ギャラリーRay(名古屋)
 CAELUM Gallery(ニューヨーク)
2003年
ギャラリーRey(名古屋)
2004年
豊田市美術館ギャラリー(豊田)
2005年
 フュルト市美術館(ドイツ)
2006年
ギャラリー名芳洞blanc(名古屋)
2006年
ギャラリー名芳洞blanc(名古屋)
2008年 ウエストベスギャラリーコヅカ(名古屋)
グループ展
1959,60,61年
 日展(書)
1997年
 第26回現代日本美術展 賞候補(東京都美術館、東京・京都市美術館、京都)
 風の芸術展 ビエンナーレまくらざき 賞候補(枕崎、鹿児島)
 トリエンナーレ1997公募 神通峡美術展 賞候補(富山)
 ACT大賞展 奨励賞(東海市)[東海市買い上げ]
 アート・ナウKANAZAWA第36回北陸中日美術展 佳作賞(石川県立美術館、石川)
1998年
 第27回現代日本美術展 賞候補(東京都美術館、東京・京都市美術館、京都)
 豊田美術展 豊田市教育委員会賞(豊田市美術館、豊田)
 第16回上野の森美術館大賞展 賞候補(東京)
1999年
 第27回現代日本美術展 賞候補(東京都美術館、東京・京都市美術館、京都)
 第14回富嶽ビエンナーレ展 賞候補(静岡県立美術館、静岡)
 風の芸術展 ビエンナーレまくらざき 賞候補(枕崎、鹿児島)
2000年
 第28回現代日本美術展(東京都美術館、東京・京都市美術館、京都)
 トリエンナーレ2000公募 神通峡美術展 優秀賞(富山)
2001年
 第15回富嶽ビエンナーレ展 賞候補(静岡県立美術館、静岡)
 第20回天展・天理ビエンナーレ2001(天理、奈良)
2002年
 風の芸術展 トリエンナーレ 賞候補(枕崎、鹿児島)
2003年
 第21回天展・天理ビエンナーレ2003(天理、奈良)
 トリエンナーレ公募2003 神通峡美術展 優秀賞(富山)
 アート・ナウKANAZAWA第42回北陸中日美術展 佳作賞(石川県立美術館、石川)
2004年
 とよた美術展'04(豊田市美術館、豊田)
 国際公募墨画トリエンナーレ富山(富山県水墨美術館、富山)
 アート・ナウKANAZAWA第43回北陸中日美術展 佳作賞(石川県立美術館、石川)
2005年
 第17回富岳ビエンナーレ展(静岡県立美術館、静岡)
 第13回吉原治良賞美術コンクール(大阪府立現代美術センター、大阪)
 第22回天展・天理ビエンナーレ2005(天理、奈良)
2006年
 トリエンナーレ2006公募 神通峡美術展 奨励賞(富山)
 アート・ナウKANAZAWA第45回北陸中日美術展 富山テレビ賞(石川県立美術館、石川)
2007年
とよた美術展'07(豊田市美術館、豊田)